最後の冒険家

最後の冒険家

最後の冒険家

正月頃のNUMBERの書評で取り上げられていた一冊。出張先に持っていくつもりで買ったら、一気に読み切ってしまった。
2008年1月、熱気球による太平洋横断に出発し、その後消息をたった神田道夫の軌跡。実は2004年にも挑戦しておりこの時も失敗、近くを航行中のコンテナ船に救助されている。筆者である石川直樹氏はこの2004年の飛行時に神田道夫と気球に同乗した方。
ヒマラヤの斜面に激突して生還とか、カシミール停戦ラインで印パ双方から威嚇射撃を受けつつも生還とか、ちょっとあり得ない記述が多すぎます。行方不明になる以前によく生きてますね、と。
まあただ、記録を追い求めるあまり、なんか収拾がつかなくなっちゃって自滅している感じもしなくもありません。そういう姿勢を「純粋」とよぶのも個人的には危険な気がします。
冒険家という姿勢を最後まで貫いたという点は評価できますが、あまりに一途すぎて、共感できないというか。
どうなんでしょうね。
そういう彼の「泥臭さ」がダイレクトに伝わる素朴な筆致。いい本です。