イザベラ・バード 日本奥地紀行

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー)

宮本常一の「塩の道」を読んでいたら「イザベラベードは…」という記述があったので、気になって買ってみた本。イザベラ・バードというイギリス人の「おばちゃん」が、明治11年に東北・北海道(道南)を旅行した記録。
面白いので、出張先でも仕事しないで喫茶店にこもって読んだりしてた。ちょっと分厚いのが難点だけど。
今風に言えば、日本のおばちゃんがアフリカの奥地にザックひとつで突入するといったあたりでしょうか。どこに行っても好奇の眼差しで見られるわけですが、それでもやたらに動き回って、祭りに出てみたり、葬式に出てみたりと、なんかそこまでやんなくていいのにというあたりが面白い。こういう人と旅をすると飽きがなくていいんだろうな、と。しかも表現がストレートで笑えます(「ぞっとするような味の」味噌汁とか)
無知な私はいくつか新しい知見を得て、少し感動しました。

  • 明治初年の農村にはまだ「お歯黒」の風習がのこっており、歯の白い外国人は特に目立った。
  • 明治頃までは、田舎ではほとんど風呂に入らなかった。服もほとんど洗濯しなかったらしい。そのため田舎では皮膚病にかかった人が多かった。
  • このころの日本はどこに行っても家の中にノミがいて、寝ていると体中刺されるのが普通だった。

などなど。
比較的、山形(南部)については好意的に書いてあって、いまでも山形の人は「イザベラ・バードが褒めた!」と喜んでいるらしいですが、基本的にどの土地についてもボロクソ書いてあって、特に福島(会津)あたりの記述は救いようがなくて、ちょっとかわいそうな感じもします。まあ、そういう歴史的真実がわかる良書。