三陸沿岸の旅

8/4〜8/7にかけて、三陸沿岸をMTBで走ってきました。
ルート:八戸〜久慈〜野田〜宮古〜釜石〜大船渡〜陸前高田〜一関。陸前高田から一関に抜けたのは単純に疲れたからです。

単純に観光目的で行ったというつもり。こういう行為に賛否両論あるのは承知の上で行きました。実際、大槌で再開したばかりのローソンでご飯食べてたら、現地ボランティアスタッフに随分睨まれました。結果的にはやや不謹慎な行為であったことは免れないと思いますが、自分の感じた状況を「観光」という視点で報告します。

自分の通った三陸沿岸(青森・岩手)は、場所によって状況が大きく異なっていました。岩手の状況に限れば(現地の人の言い方を借りれば)県南・県北で分かれると言えるでしょう。

岩手の県北については(場所によりますが)観光客を積極的に迎えているところがいくつかあり、田野畑村・北山崎、普代村・黒崎灯台、久慈・小袖海岸(北限の海女で有名なところ)などは、「ぜひ来てください!」という感じでした。ただし海水浴場はやってませんでした(久慈で海開きしたところがあるのを帰ってきたから知った)

久慈市小袖海岸の「北限の海女」は、昨年若い方の加入でとても話題になったところですが、津波で施設が土台を残してすべて流されてしまいました。ただ先月からプレハブ小屋で元気に再開しています。予約していれば実演もしてくれるとか。
参考: http://www.city.kuji.iwate.jp/cb/hpc/Article-87-25361.html

田野畑村は(相当な被害があったところなのですが)「津波語り部ガイド」などを含む複数の観光ツアーをやっているようです。これはすごい。前日予約で参加できるようです。北山崎、鵜の巣断崖も普通に行けました。写真は北山崎。
参考: http://www.tanohata-taiken.jp/

ただ岩手の県南、岩泉町・小本、宮古市よりも南は、がれきがかなり撤去されて仮設住宅への入居がかなり進んでいるとはいえ、まだ仮の復旧作業でさえ道半ばという雰囲気で、少なくとも自分の行った範囲では観光できるような状況ではありませんでした。R45も片側通行の個所が多く渋滞もいくつか発生しており、「沿岸部では車利用の自粛を」という電光掲示が出ていました。復興関係者・地元の方以外が車でのR45を通行するのは遠慮すべきところでしょう。やはりチャリも行くべきではなかった。これは素直に反省すべきところ。すみません。

とはいっても宿泊施設は徐々に再開していて、特に大船渡市・三陸町越喜来(おきらい)、気仙沼市・唐桑半島の民宿は、営業しているところもいくつかあって、実際に電話したら「ぜひ来てください」と、とてもウェルカムな雰囲気でした。ただ直前に電話したら満杯だと言われた。ボランティアの方などが多かったからかも?

以下、今回宿泊地として利用したところ。

普代村・くろさき荘
国民宿舎。海のそばにあるのですが。北山崎から続く断崖の上にあって津波に対してまったく無傷で、普通に営業してます。この他、北山崎のシャクナゲ荘も営業していました。このあたりの宿泊施設は震災のあった3月から「ぜひお越しください!」と積極的に呼び掛けていたところです。

宮古市・湯ったり館
宮古市から西に15km程内陸に入ったところ。JR茂市駅近く。温泉と宿泊施設がセットになってます。キャンプ場もあります。6月まで自衛隊が駐在した施設だったみたいですが、今は普通に宿泊できます。

■ 一関市大東町・アストロロマン大東
キャンプ場です。陸前高田から西にR343の笹ノ田峠を越えたところにあります。大東ふるさと分校とう温泉施設が併設されています。

気仙沼以南の海岸は見れていないのですが、三陸の海岸は、一言で言い表せない多様性を持っていて、田野畑のように完全に切り立った崖を持つようなところ、大槌・吉里吉里のように、海岸に向かってなだらかに傾斜する斜面を持つところ、海岸から遠くまで平野が広がる陸前高田のようなところなど、地形だけみても様々で、なおかつ宮古・釜石のように海岸ギリギリにかなり高いビル(警察署も!)を持つところもあれば、緩衝帯として田畑を持つようなところなど土地利用形態も様々で、東京の景色しか知らない人間には考えさせられるところが多いです。「高台に移住し新たな集落を作る」というような薄っぺらいお絵かき一枚描いただけではまずいということがわかります。

一方、海からの距離によって生活状況が大きく異なっていて、宮古、大船渡では海岸から少し奥に入るだけで大型チェーン店などが普通に営業していたのは(被害がないから当たり前なのかもしれないが)不思議な光景に見えました。

そういうことは知らないより知っておいた方がいいかもしれない。ただそれを知るために現地に行くのは今年でなくてもよかった。少なくとももう1年待つべき。どうしても行くのであれば、岩手県北・青森に限定するか、あるいはボランティアに徹するべきだった。じゃなければ単に物見遊佐に終わってしまう。というのは行ってみて初めて分かったことでもありました。すみません。

三陸の海はとてもきれいで、人や家を飲み込むような海とはとても思えなかったというのが素直な感想。山田町あたりで撮った海。

大船渡で出会ったボランティアの方は「いやーきれいですねー」と言いながら夕方の海の風景を取っていたのはとても印象的でした。一緒に撮った一枚。

R45を走って、海水浴場を見つけてはわーいと泳いで、そんなことを繰り返しながら観光できるのがいつになるのか分からない(いや、今はそんな悠長なことは言ってられないのは承知の上で)そういう日が来るのを心待ちにしながら、もう一度三陸の海を辿れる日が来ることを心から願う次第。